「喜んでくれるのは嬉しいけど、ハズイからやめろ、、、。」


如月くんが顔を赤くして、そう言った。


「ちぇっ、俺が頑張ってやったのに。」


ちょっとすねたように一ノ瀬くんが言った。


「ちょっと私もだよぉー。」


むすぅ、と朱里が言う。
えっと、、、どういうことかな?


「あとで、ネタバレするんで。」


やけに自信満々に朱里が言う。

完全に私たちの頭の中はハテナマークに占領された。

そんな雰囲気を破るように、満面の笑みで佐伯くんが言った。


「でも、柊樹が彼女できるなんてな。親友として俺も嬉しい!!」

「私も陽ちゃんの恋が実ってよかったよ~。」


佐伯くんと華が、いつものほんわか口調で言った。いや、ほんわか口調で、大きめの声で言った。だから、コレはさっきこちらに注目していた周りの人たちにも、しっかり聞こえていた。

ボンっ、という音が聞こえるかのように一気に私たちの顔が赤くなる。

それと同時に、女子の悲鳴が聞こえた。私なんかが、如月くんの彼女になっちゃったからだよね。

男子は、、、魂が抜けてる(?)感じの顔してる。なんでだろ。
 

「お前、さすがに声でかい。」


一ノ瀬くんが冷静にツッコみを入れたので、佐伯くんはシュンとしてしまった。一ノ瀬くん、こういうときでも、そこだけは変わんないんだ、、、。
 

「あー、昼飯食べよ、、、。」


小さい声で、如月くんが言った。


「そうだね」


と、私も賛成する。


「やったーーー!!!昼飯、昼飯♪」


さっきの、シュンとした表情とは、打って変わって、キラキラの目ワクワクしだした佐伯くん。
 
それから少しして、現実を理解してくれる人が増えたのか(ちょっと申し訳なくなる)、周りの目もだんだん、少なくなってきた。
如月くんがお弁当を広げる。色とりどりのきれいなお弁当だ。


「あ、あと、、、。」


もう一つ、少し大きめのお弁当をリュックから出した。中身は美味しそうなから揚げだ。


「そんなに一人で食べんの?」


朱里が聞く。


「優斗のはつまみ食いってレベルじゃねーから、毎年別で作ってんだ。そうしないと、俺の分無くなるからな。それに、蒼も結構食べてくれるし。やっぱり、うまいって言って食べてくれるのが一番うれしいから、大変なんだけど毎年作っちゃうんだよな。」

「え、うそ。私も持ってきちゃった。」


そう言って、私もリュックの中から自分のお弁当と、みんな用に多めに作ったポテトサラダを出した。
5人ともびっくりして私の方を見ている。


「お前ら、おんなじこと考えてたんじゃん。」


ふふっ、と一ノ瀬くんが笑う。