はっず。そして申し訳なさすぎる、、、。


「全然大丈夫!!ほんとに!」


桐生は優しい。こんなところも、好きだ。
それから少しして、競技が終わった。退場のアナウンスが流れる。


ーそれでは、退場です。


みんなで一斉に退場門へ向かう。


ーこの後は、各自お昼ご飯の時間です。自分の席で食べてください。午後の部は、、、。


「やった、次、お昼ごはん♪」


ルンルン気分の桐生ももちろんかわいい。はぁ~、横にいられるだけで幸せ。
俺たちは、退場門をくぐり観覧席に戻ろうとしていた。


「はーい、はい、ちょっと待った。ちょっとお話を聞きたいんだけれどもお時間頂戴しますね。」


は?え、それを言うならお時間ありますか?じゃなくて、、、。初めから頂戴しますね、なんだ、、、。てか、なんで俺だけ!?そして、誰だ?


「ちょっとちょっと、桐生さんも、ほらほら。」

「え、どうかしました?」


目をパチパチっとさせながら、桐生は聞いた。こいつ、よく分かんねーことあると、目をパチパチさせる癖があるんだな。

今の俺の頭の中は、ハテナマークでいっぱいだ。


「どうも。新聞部、2年の佐藤です。二人に聞きたいことがありまして、さっきの借り物&借り人競争どんなお題だったんですか?」


こいつ、普段はクッソ存在感ないくせに新聞部の取材になった瞬間人格が変わると言われている、あの佐藤か。

あっ、という間もなく次の質問が飛んできた。


「それから、なんで女子の桐生さんをわざわざ選んだんですか?手をつながなくちゃいけないこと分かっていたはずですよね。あ、あと、ゴールした後すぐに手を放していませんでしたけど、あれって、何でですか?」


ギクッ、いたいところをすべてついてくる。何と答えればいいのやら、、、そしてこいつは何を求めているのだろうか、、、。
あっけにとられて、俺は完全にフリーズしていた。


「えっと、、、お題の最後に女の子って書いてあって、学級委員でちょっと接点あったから私のこと選んだだけじゃないかな?」


桐生が俺の代わりに答えてくれた。


「カレカノとかじゃないんですかね!?」


佐藤の目がすっかり、燃えている。ほんとにこいつ、人格変わりすぎだろ、、、。俺はそっちの方が気になるけど。


「そんなわけないよ。ね、如月くん。」


桐生がこっちを向いた。
そうだ、すっかり質問のこと忘れてた、、、。
でも、俺に恋愛感情が無いと言ったら、嘘になるな、、、。