「ポニーテールで白い靴の女の子、、、。なるほどね。もちろんいいよ!!」
最後の方は、いつもの明るい笑顔と一緒に答えてくれた。
「じゃあ、手。」
俺は顔が赤くなっているのがばれないようにそっぽを向きながら、手を出す。桐生は少し、目をパチパチさせてから、状況を理解したのか、ちょっと遠慮がちに手をのせた。
 「走るぞ!!」
「えっ!?」
俺は桐生の手を引いて、また猛ダッシュをする。恥ずかしくて、早く終わらせちゃいたいのと、気を紛らわせたいのとで、ただひたすらゴールに向かって全速力だった。
 「速いよぉ~。」
後ろで、桐生の弱弱しい声が聞こえたので、少し速度を遅くする。
 少し離れたところでは同じく男子が、こちらは女子の手とヘアゴムを持ってゴールに向かっていた。この学校じゃ、有名のカップルだ。
 まだ、誰もゴールしていないので、ここの対決になる。審判からやり直し、と言われなければの話だが。
 桐生は、負けず嫌いなところがあるからな。今は周りが見えていなくて気づいてないみたいだけど、このことを言えば、さらにスピードが増すかもしれない。ここまでしたからには、勝ちたいし、ちょっと言ってみるか。
「桐生、俺たちと同じくらいでゴールのやつがいる。ここまで来たからには一着でゴールできるように頑張ろうな!!」
「うん!!」
 後ろから、気合の入った一言が聞こえた。
 よし、行けるな。そこからさらに走って、さっきまで横にいたやつらと、少しではあるが差をつけることができた。ゴール地点はもう目前にある。
 おっと、先に審判さんと。慌てて急ブレーキして、しっかり、OKをもらう。
 あのカップル二人に追いつかれる前に、、、。最後は2人で横に並んで、ゴール!!俺たちは、ゴールテープをしっかり切ることができた。
 ー一位、白組の2年3組です!!
放送部が発表したその瞬間、(白組のところだけだが)ワ―!!という、熱狂に包まれた。借り物競争は、配点が高い方でもあるしな。
「やったな!」
「うん!!」
まぶしいほどにキラキラの笑顔、、、可愛すぎる。
 「お前らさ、まだ手つないでんの?」
「ふぇ?」
どんな声出してんだよ、というようなあきれた顔で、いつの間にかゴールしていたさっきのカップル二人に聞かれる。
 はっ、と気づき、慌てて二人とも手を放した。
「ごめんね、ほんとに、ごめん。」
へこへこと謝る俺に対して、桐生も全く同じことをしていた。