ー第二走者は、スタートラインについてください。
 

うわ、もう始まっちゃうじゃん。いや、俺ならできる。たくさん練習してきたんだ。
午前の部、最後の種目なのでお腹は相当減っているが、がんばるしかない。
 

ー位置について、よーい、、、
ーパーン


スターターピストルが鳴った音に合わせて、俺はダッと、走り出した。目の前の紙は三枚ある。簡単なの、来てくれますように。
どれにしよう、、、こういう時は真ん中でしょ!!


ーペラっ


『高めのポニーテールで、白い靴の女の子』


ポニーテールって、、、なんだっけ?えーと、確か、、、一本結びだったような、、、。
 
桐生しかいないでしょ!!
 
その瞬間、俺はダッシュで走り始めていた。が、途中で気づく。これって、手をつながなくちゃいけないんじゃなかったっけ。え、どうしよ。
今度は、グラウンドのど真ん中で止まってしまった。周りを見ても、ポニーテールの女子はいるが、知らない奴と手なんてつなぎたくない。そして、いちいち白い靴かどうか確認するのもめんどくさい。でも、桐生と手をつなぐのも、それはそれで勇気がいる。
 
マジで、どうしよーーー!しかもこのお題じゃ、男子絶対ないじゃん!最後にちゃっかり女の子って、ついちゃってるから。
 
その時、俺の頭の中で優斗の声と、昨日の会話がフラッシュバックで現れた。


「はぁー、なんで桐生ってあんなに可愛いんだろう。」


いつも通り、一人暮らしをしている俺の部屋に三人で集まり、勉強でもしようと思っていたところだ。


「それ聞きに来たんじゃないんですけど。ま、いつものことだけどさぁー。」


蒼がいつも通り、ツッコみを入れる。だって、本当にかわいいんだもん。もう、やばいでしょ。


「さっさと、告ればいいのに。」


優斗が言う。


「ぜっっったいに無理。それだけはマジでない。桐生が俺なんかのこと好きなわけないじゃん。もう、ホントに言わせんなよ。ますます落ち込むじゃん。」

「案外オッケー出るかもよ。」


100パーセント、いや、120パーセントない。

だってさ桐生は、俺と一緒に学級委員なれるって、決まった時嬉しそうな表情をしてたわけじゃないし、もし、もし仮に学級委員になってから俺のこと好きになったとしてくれても、態度ぜんぜん変わってないし。俺だったら、まともに目を合わせられなくなるとかさ、、、。
 

「あのさ、今120パーセントくらいないとか思ってるんでしょうけど、それって、他のやつと接し方が一緒だから、って言いたいんだよね。」


蒼に聞かれて、ウンとうなずく。