だから、一ノ瀬と話している=何か学校関連の大事な用があるということになる。私をのぞいて、だけどね。

ついに待ちきれなくなった私は聞いた。


「よっ!今日さっそく、会議あったみたいだけどどうだった?やっぱり、メールより話す方が早いじゃん?それに、今日ずっと気になってたし。」


ちょっと早口になってしまったが、バレてないでしょ。


「え、休み時間言ったじゃん。成功したよって。」


だから、それだけだと、余計気になっちゃうんだってば!!でも、ここでそんなことを言っても、子どもっぽいと思ったので、抑えた。


「もう少し詳しく聞きたいと思ったんだけど、ダメだった?」

「あー、なるほど。今日は、それぞれの担当を決めて終わったよ。借り物競争取れたから安心して。」


私たちの学校では、体育祭の実行委員は一年生と二年生が一クラス一人づつ選ばれる。だから実行委員は全部で10人。でも二年生は一人で二つ担当する。だから、合計15種目あることになる。

二つも担当するのは大変と思うかもしれないけど、ルールを決めるのと、BGMとかそういうのを決める程度だから言うほど大変じゃない。他には、10人全員で、当日の飾りつけとかを考えたり、準備の時に仕切ったりする。そのくらいだ。

私たちが狙っているのは、その、ルールを決める時に借り”人”競争も追加することだ。毎年、何かしらアレンジは入れて欲しいと言われているから、きっとこれはすぐにオッケーが出るだろう。ちなみに去年はその借りるものを、時間以内に、「いくつ借りれるか」だった。普通は借りたものを早くゴールまで持ってこれた人が勝ちなんだけど。


「え、でもさ借り物競争って結構人気なんじゃないの?クラスメイトが話してるの聞こえたんだけど、アレンジもしやすいし、面白いし。」

「俺も、そう思って覚悟はしといたけど誰も手、挙げなかった。借り物競争って言われた瞬間俺が手を挙げたら誰もそのあとシーンて。」

「あー、そうなんだ。」


一応私はそう言っておく。

本人は気づいていないみたいだから言わなかったけど、誰でもめっちゃ張り切ってる一ノ瀬のあとに手は挙げづらい。しかも一ノ瀬がこういうことするの、めったにないし。さっきも、ここで言ったけどね。

この実行委員の役は、一ノ瀬に譲っておいてよかったと、改めて思った。
その後も、一ノ瀬には作戦通り動いてもらい、そのたびにメールで報告してもらっていた(さすがに毎日は直接話せない)。

そして、順調に進んだ、、、ように見えたが思わぬところでつまづいてしまった。