「ねぇねぇ、みんな忘れてるかもだけどさ、こっちも食べない?」


朱里がお菓子の袋をだした瞬間、みんなが、アッ、という顔になった。


「私食べたい!!」

「俺、忘れてなかったし。」


華と佐伯くんが、遮るように言った。


「お皿今出すね。」


朱里がキッチンへ向かった。


「そういえばさ、俺に言われたくねぇよって思うかもだけど、これって確かべんきょ、、」

「どれから食べたい??ほら、桐生選んじゃいなよ、ね。」


一ノ瀬くんにそう聞かれた。佐伯くん今、なんか言ってなかった、、、?ま、いっか。
それから、気づいたらお菓子パーティーになっていた。


「あー、マジうまかった。」

「ヤバ、私今日お菓子食べすぎちゃったかも。太っちゃう、やばいやばい、、、。」


華がおろおろしながら言った。

うわ、私もじゃん。それに、如月くんたちの前で、、、。大食い女って思われちゃったかな、、、。


「別に良くね、たまには。しょうがないし。」


意外にも一ノ瀬くんがそう言ってくれた。


「ていうか、これでも少ない方じゃないの?」

「それは、お前が異常なだけ。」


また、べしっと、如月くんが佐伯くんにツッこむ。

なんか、この三人を見ているとほっこりするな。ふふっと華と朱里と三人で思わず笑った。


「絶対、またやろうね。」

「でも、次はもう少し、勉強多めだな。」


如月くんが意地悪そうな顔で、いった。

ん?どういうこと?しばらく頭の中がはてなになる。
そこで、はっと思いだした。そうじゃん、私たち勉強会してたんだった!いつの間にかお菓子パーティーになってるし!!そして私、普通に忘れてたし!!


「やっば、めっちゃ忘れてた!」


思わず私が叫んでしまった。


「俺、言ったじゃんあの時。」


佐伯くんが言った。え、あ、もしや一ノ瀬くんが遮っちゃって、良く聞こえなかったあの時!?

完全にやっちまったぁ~。朱里も華も、ポカーンとした顔で、如月くんを見つめている。二人も忘れていたっぽい。


「ま、でもいいんじゃないすか。普通に楽しかったし。」


一ノ瀬くんが言う。確かに、夏休みはまだまだたくさん残っている。

でも、今度会うときは普通に遊びたいな。


「あ、ちょっと待って、今何時?」


一ノ瀬くんが慌てた様子で聞いた。


「え、なんだかんだで四時半だよ。」

「うわっ、ヤバ。俺、今日サッカーだったからもう帰るね。」


ドタバタと、一ノ瀬くんが荷物をまとめ始めた。