それから二人で、作ったマフィンをお皿に盛りつけているうちに、四人が返ってきた。


「なんかいいの見つかった?」


私が袋の中身をのぞきながら聞いた。だって気になるんだもん。私、お菓子大好きだし。


「陽の好きな、チョコ買ってきたよ!」

「やったー!朱里、華ナイッスゥー!」


私が言う。



「絶対、陽欲しいだろうなって思って。他にスナック菓子とか色々。なんかコンビニあんまり売ってなくてさ~、結局スーパーまで行っちゃった。」


そんな遠くまで行ったんだ。コンビニも、夏休みだし同じようなこと考える人多いのかもね。


「ありがとな。」


後ろから如月くんがそう言った。


「そういえばさ、マフィンどこどこ?」


ワクワクしながら佐伯くんが身をのりだした。


「ん、ここ。」


如月くんがすっと、どく。私たちで隠れちゃって見えなかったみたい。


「うおーーー!うっまそ!!」


誰よりも早く、超キラキラした目で佐伯くんが言った。早く食べたいとうずうずしている。


「手、洗ってきまーす!!」

「私たちも。」


残りの三人も、洗面所に向かった。


「あれ、洗面所どこだったっけ?」


意気揚々に駆け出したはいいものの、場所を忘れちゃったみたいで、きょろきょろしてるうちに三人に追いつかれてしまった佐伯くん。


「こっちですよ。忘れたの、今朝のことじゃん。」


あきれた声で一ノ瀬くんが言いながら、佐伯くんを誘導した。
 
「よし、手洗ったし、いっただきまーーーす!」


と、佐伯くんがいい終わった瞬間、もう一個目のマフィンに手が伸びていた。


「うんま!」

「飲み込んでから言えよ。」


べしっと、如月くんが突っ込みを入れる。息ぴったりじゃん。


「ずるっ、私も~。」


と、朱里が手を伸ばす。

私たちが作ったマフィンは好評で、一人二つ食べ終わり、余った一つはじゃんけんで争奪戦だった。その、じゃんけんを制したのは、一ノ瀬くんでした!


「半分頂戴、お願いっ!」


佐伯くんが頼み込むも、


「あーげない」


と言って、最後の一個を一ノ瀬くんがみんなの前で堂々と食べて終わった。なんやかんやで、一ノ瀬くんが一番マフィン気に入ってたかも。

むすぅとした顔の佐伯くんも可愛い。こりゃ女子にモテるわけだ。

ま、私は如月くん一筋に、ついこないだなりましたけどね。


「今度また作ってね~。」

「もっちろん!」


私がふふっと笑う。
後ろを向くと、如月くんがピースサインをしていた。私も、イェイとピースサインをする。