ちなみに、朱里からは何を使ってもいいよ、と言われている。
すると突然如月くんが


「桐生って、すごい楽しそうに準備するんだな」


と言った。


「えっ！？」


なんか変なことしちゃってただろうか。突然言われたことの意味がよくわからなくって、頭の中にはてなマークがたくさん出てきた。


「だってさっき鼻歌うたってニコニコしながら材料準備してたよ。」

「えっ！？」


さっきよりももっと、驚きだ。


「やっぱり無意識だったんだ。」


思わず、コクンとうなずく。

そんなことしちゃってたなんて、恥ずかし～。


「あ、チョコチップある。入れる？」

「うん！」


良かった、如月くんさっきのことあんまり気にしてないみたい。
そのあと、どんどん私たちはマフィンを作っていった。大体、30分くらいで作り終わる。

ほんとに如月くん、お料理得意なんだ～。こんな私が言えることじゃないけど、手際がめっちゃいいし、盛り付けとかめっちゃ上手なんですけど（チョコチップの配置とか超うまい　私のはなんか違和感がある）。女子として、私ももうちょっとできた方がよかったな。


「そういえば、あいつら帰ってこないね。」


確かに。ちょうどこれから焼くところなので、もう出かけてから２０分以上経っている。


「どうしたんだろうね。」


二人でちょっと心配になる。と、そのとき、それぞれのグループラインで

【ごめん、コンビニにいいのなくて、探しまくってたらまぁまぁ遠くまで来ちゃった。帰るの、もうちょい、遅れるかも。】

と送られてきた。

マジですか！？まだ、二人きりの時間が続くの！？別に、如月くんと一緒にいられるのは嬉しいんだけど、そろそろ帰ってきてほしかった、、、。二人きりってなんか、ちょっと恥ずかしい、、、。それにきっと、私は何とも思われてないんだろうな。だから、如月くんはこんなに”普通”に話しかけてくれるし、そこまで興味が無いから相変わらず他の女子と比べて私の時だけ口数が少ないんだろう（前よりは、話してくれるようになってきてくれてるから嬉しい！）。

分かってたことだけど、ちょっと悲しい。早く告白して振られちゃえばあきらめがつくんだろうけど、今はそんな勇気ないし、、、。でもいつかはきっと気持ちがあふれちゃうんだろうな。

だから、今、この時を、如月くんと普通に話せて笑える時を最大限に楽しむって決めたんだ！


「ねぇ、とりあえずマフィン、作っちゃおうよ！冷めてもおいしいじゃん、コレ。」

「そうだな。」


二人でオーブンにマフィンを入れた。