サッカーの試合から6日後。今日は金曜日だから、ごみ捨てに行かないと。

私は先に行ってしまった如月くんを追いかけるようにして、ごみ捨て場に向かった。
階段を下って、ごみ捨て場のところに着いたとき、如月くんともう一人、女子がいるのを見つけた。誰だろう?

特に気にせず私も中に入ろうとした。
でも次の瞬間、、、


「好きです!」


そのそばにいた女子が告白しているところを見てしまった。

なぜか一瞬ドキッとしてしまった。

さっと私は、近くの柱に隠れる。
告白の相手はもちろん、如月くんだ。
 

「ごめん。」


如月くんはそれだけ言って断った。

大丈夫と言って、速足(はやあし)で女子が戻ってきた。

やばい、どう考えても私の方に来る。どうしようとおろおろしているうちに見つかってしまった。
 

「見てたんだ。」


そう言いながら、私にドンと肩をぶつけて、そのままどこかへ行ってしまった。
 
よけられなかった私はそのまま柱に当たる。


「いてっ。」


肩をさすって倒れこんでいると、いつのまにか如月くんが来ていた。
 


「どうしたの?」


如月くんがしゃがんで、そう聞いてくれた。
 

「あー、大丈夫。ちょっとドジってこけただけだよ。」


と言って適当にごまかしておく。
 
如月くんは優しいから、本当のことを言ったら絶対、”自分が振ったから”私が八つ当たりされたと思って、謝ってくれる。如月くんが振ったことが悪いわけじゃないんだから、そんなことはさせたくない。
 
そう思ってあえて本当のことは言わなかった。


「そう」


とだけ言って如月くんは教室に戻っていった。

 
やっぱり如月くんは凄いな、そう思いながら私もごみを捨てて、教室に戻る。
 
それから、移動教室があった。いつも通りみんなを整列させて向かう。
 

「何か変?」


如月くんに聞かれてはっ、とする。
自分でも気が付かないうちに、やたら如月くんのことを見てしまっていたのだ。


「すっごい今更だけど、私なんかと学級委員で良かったのかなぁーって思っちゃって。」



これは本音だ。本当にそう思っていたし、たまに考えることもあったから。

でも、今はそれだけが理由じゃない気もしていた。なんでだろう?


「俺は、桐生とやれてうれしいけど。」


ちょっとぶっきらぼうに言われた言葉がすごくうれしかった。
でも何か引っかかるな。なんで私こんなにうれしいんだろう。

ぼーっとしながら頭の中であれこれ考える。女子が如月くんに告白した時、ドキっとしたのはなぜ?それは、如月くんがもしいいよって言ったらどうしようと思ったから。