極上男子は、地味子を奪いたい。①〜トップアイドル(♀)正体を隠して編入する〜


正道くん……!

思わず立ち上がってしまいそうになったのを、ぐっと堪える。

ダメダメ……私がカレンってことは、ほかのみんなにはバレたらダメなんだから……。

でも、正道くんならきっとカレンだって知っても、秘密にしていてくれると思う。

そのくらい、私にとっては信頼しているファンのひとりだった。



「正道様、お疲れ様です」



伊波さんが立ち上がり、正道くんのもとへ駆け寄っていった。



「ああ」



あれ……?

やっぱり、私の知っている正道くんと、少し雰囲気が違うような……。

正道くん、そんなに声低かったっけ……?

不思議に思いながらも、とりあえず立ち上がる。

自己紹介しなきゃいけないって言っていたし、私も正道くんに近づいた。

あっ……。

正道くんと、目が合う。

じっと私を見ている正道くんに、もしかするとバレたかもしれないっ……と、背筋を伸ばした。