正道くん……!
思わず立ち上がってしまいそうになったのを、ぐっと堪える。
ダメダメ……私がカレンってことは、ほかのみんなにはバレたらダメなんだから……。
でも、正道くんならきっとカレンだって知っても、秘密にしていてくれると思う。
そのくらい、私にとっては信頼しているファンのひとりだった。
「正道様、お疲れ様です」
伊波さんが立ち上がり、正道くんのもとへ駆け寄っていった。
「ああ」
あれ……?
やっぱり、私の知っている正道くんと、少し雰囲気が違うような……。
正道くん、そんなに声低かったっけ……?
不思議に思いながらも、とりあえず立ち上がる。
自己紹介しなきゃいけないって言っていたし、私も正道くんに近づいた。
あっ……。
正道くんと、目が合う。
じっと私を見ている正道くんに、もしかするとバレたかもしれないっ……と、背筋を伸ばした。

