「選ばれた者しか、入れない部屋だからね」



陸くんはそう言って、ふっと笑う。

正道くん、もういるのかな……。

私が同じ学園に編入したって知ったら、びっくりするかな……ふふっ。




「失礼します」



陸くんがドアを押した。視界に広がる、生徒会室の光景。

うわ……。

な、中まで、お城みたい……。

エレガントな雰囲気のアンティーク家具で統一された、高級感ある室内。

壁には教科書で見たことがある有名な絵画や、所々に貴重そうな美術品や装飾品が置かれていて、足を踏みいれるのに躊躇した。

想像を超える豪華な空間に圧倒されてしまい、私が萎縮していると、中から声が聞こえた。



「お疲れ様です、陸さん。……あ、花恋さん」




伊波さん……!



「初めまして……!」



思わず、そう言って頭を下げた。



「ふふっ、初めましてではないので、挨拶はいりませんよ」