「引退したって、花恋はずっとうちの所属タレントだ。家族同然なんだから、困ったことがあればいつでも頼ってくれよ」



高御堂の言葉が、胸にじーん……と響く。



「高御堂~!!︎」

「……っ! お、おい……!」



私は思わず、高御堂にぎゅうっと抱きついた。



「ちょっと花恋、高御堂の心臓が止まるわよ」



社長が、ミラー越しに私たちを見てニヤニヤしている。



「心臓……?」

「は、離れろ!」



そんなに嫌がらなくてもいいのになぁ……。

私を引きはがした高御堂に、ちょっとだけ悲しくなった。私が抱きつくと、いつも嫌がられてしまう。



「クールな高御堂も、花恋には敵わないわね……」

「ニヤつかないでください、社長」

「ふふっ、あたしはあんたを応援してるわよ」

「……っ」