ドアを開けて、教室の中へ一歩踏みだす。

クラス中の視線が、私に集まっていた。



「何あれ……」

「前髪長すぎて顔見えないんだけど……」

「いや、それ以前にあのメガネだろ」




こ、こそこそ何か聞こえるっ……。

多分だけど、いい視線ではないのかな……。



「は、初めまして……一ノ瀬花恋です!」



できるだけ元気よく、そう挨拶をした。

ぺこりと頭を下げた私を、みんなが好奇の眼差しで見ている。



「かれんだって」

「名前と合ってなさすぎ、かわいそ~」

「あたしだったら名前変えるわね~」



な、なんだか、まだ自己紹介しただけなのに、嫌われてるっ……!?︎

不穏な空気を察して、冷や汗が流れた。