「ははっ、ずいぶん勉強ができそうな子が入ったね」
な、なんだかこそこそ言われている気がするっ……。
「おお一ノ瀬、待ってたぞ」
手を上げてそう言った先生を見つけ、急いで駆け寄る。
「俺が担任の桐生だ。これからよろしくな」
若い先生だ……20代後半くらいかな? 気さくそうな人に見える。
「よろしくお願いします……!」
「教室に行くか」
さ、さっそく……!
「は、はい!」
元気よく返事をして、先生と一緒に職員室を出る。
うわ……き、緊張するなぁ……。
先生の後ろを歩きながら、心を落ち着かせようと深呼吸をする。
「それにしても……」
ん? 何か言いかけた先生を、じっと見つめた。
「一ノ瀬“花恋”なんて名前だから、勝手にどんな生徒かイメージしてしまってたよ」
え? ど、どういう意味だろう……?

