彼……水瀬さんの声に、はっと顔を上げる。

職員室と書かれた部屋の前にいて、もう着いたのかと驚いた。



「ありがとうございました、水瀬さん」

「伊波でいいですよ。これから同じ学園の生徒として、よろしくお願いします」

「はい! えっと……よろしくお願いします、伊波さん」

「また困ったことがあれば、言ってくださいね」



微笑みながら、手を振って去っていった伊波さん。

今度会った時にでも、以前どこかで会いましたか?って聞いてみようかな……。


それにしても、伊波さんが案内してくれて本当によかった……。

改めて、お礼をしなきゃ。

そう思いながら、職員室のドアに手をかける。


――ガラガラガラッ。



「遅くなってすみません、編入生の一ノ瀬花恋です……!」



す、すごく見られてるっ……。

職員室内にいた先生全員の視線が、私に集まっていた。



「あの子が……」