正道くんならきっと……私のこと気づいてくれるって信じてたけど……。気づかなかったってことは……もう正道くんにとって、“カレン”はその程度の存在になったってこと。

変装してたし、気づいてもらえなかったことは仕方ないとしても……まさか、正道くんにあんな一面があったなんて……。

どっちが……本当の、正道くんなんだろう……?



『僕はいつだって、カレンだけを応援しているから』



いつも笑顔を向けてくれた、優しい正道くん……?

それとも……。



『喋るなと言っているのがわからないのか?』



冷徹な目をした……さっきの、正道くん……?

……もう、考えたくない……。

今わかるのは、私が知らない正道くんがいたっていう事実だけだ。

さっき見た光景は、紛れもなく現実だから。








頭の中でぐるぐると答えの見つからないことを考えながら、なんとか歩いて靴箱がある昇降口まで辿りついた。

学校を出て、家への帰り道を歩く。

その間も、考えるのは正道くんのことばかりだった。

それに……陸くんも……。

最後に向けられた笑顔……怖かったな……。