話に聞いていたオリエイエの使者が来たのは、青空に雪がちらつく朝だった。
「お初にお目にかかる。オリエイエから派遣されたニカという」
 ニカ、と名乗ったその人は美しい女性だった。肌はジニアスのようにこんがりと日に焼けている。染めているのか、橙と黒の入り混じった髪を頭の高い位置でポニーテールにしている。服装は西洋の軍服のようなものを着ていて足もとはブーツだが、頭には深紅の布を巻き、まとった外(がい)套(とう)はゆったりと大きなつくりで、なるほど砂漠の民さながらである。
 リファとジニアスは、この謁見の間への同席を許され、分厚いカーテンの隙間からこっそりとアルフレートとオリエイエの外交を観察していた。クロマユはオリエイエの人間に観られるとまずいので、アンガッサの部屋でお留守番である。
 ニカのうしろには、大柄な男たちが四人、まるでロボットのように立っている。
 彼らも軍服に頭には布、そして大きな外套を羽織っている。腰には弧を描いた細身の剣をさしている。
「知ってる人いた?」
 リファが尋ねると、ジニアスは「いいや?」と軽く肩をすくめた。
 そのとき、ニカがリファたちのほうを見た。カーテンはあるが完全に隠れているわけではないので、リファとジニアスの姿はあちらから見ることができるだろう。
 オリエイエ特有の化粧なのか、ニカは大きな瞳よりぐっと長くアイラインを引いていた。とてもエキゾチックな顔立ちがリファたちを見て、一瞬にして固まった。ような気がする。
 リファは「ん?」と不思議そうに顔をかしげたが、そのリファのうしろで、ジニアスが薄く笑った。微笑を浮かべたまま、ゆっくりと指を口に持っていき、「しー」とニカへと伝える。
 カーテンの影がジニアスの上半身を暗くし、人さし指を唇にあてて首をかしげる姿は異様な色気を発し、その姿はぞっとするほど美しかった。
 それを認めて、ニカは憮然とした表情で再び前を向いた。
「なんかこっち見て驚いてなかった?」
 リファがジニアスを見上げて問うと、「俺が美しすぎるからだろ」といけしゃあしゃあと答える。本当に美しいので、それを否定できないところが悔しい。リファははいはいとそれを受け流して、王アルダンと使者ニカのやりとりの観察に戻った。
「遠いところからよく来られた。多くの兵を率いての長旅はこたえただろう。よければ荷ほどきして我が城でゆっくりと休んでいかれてはどうか」
 アルダンが、玉座で毅然として言う。はっきりと、オリエイエ側が兵を連れてきているとこちらは知っていると言葉にして。その隣で、アルバは美しい衣装に身を包んでまるで人形のように立っている。
「お気遣い痛み入る。しかし、なにせ仕事熱心なもので、仕事を終えないとひと眠りできぬたちなのです」
 ニカはアルダンからの申し出をあっさりと断った。
 あまり友好的ではない。
「ご存じなら説明する必要もありませんでしょう。国の外には千を超える兵たちを待機しております。オオガミの復活の現状をお聞かせ願えるか」
 ニカは暗に、アルフレートの民を守りたければ、愚かな真似はやめよと言っている。
 とはいえ、アルフレート側もオオガミを復活させようと奮闘してはいるが、まだなんの手ごたえもない状態なのである。現状報告せよと言われても、そのような事実はないと答えるしかないだろう。
「僭越ながら……発言しても?」
 アルバが口を開いた。ニカが驚いたように目を見開いた。その美しい人形――のような男が、まさか生きているとは思わなかったのだろうか。
「許す」
 アルダンが許可を出すが、それはそれは冷たい声だった。
 外交の場だからそのようなやりとりなのだろうか。
「なんか、王様ってアルバに冷たいね」
 リファが小さな声で言うと、ジニアスはああ、と興味がなさそうに反応した。
「王族の兄弟なんてあんなもんだろ。利権と地位が関わってくる関係なんて、よほど仲がいいか、無関心か憎悪を抱いてるかのどれかだ」
 ドライな答えである。
 リファはなんとなく納得いかなくて、さらに食い下がった。
「でも、アルバは王様のこと心配してるみたいだったよ」
「アルバのほうが高位だからだろ。高みから見渡してる奴は、えてして下の人間の機微には鈍感になっちまうもんなんだ。本人がそんなつもりなくてもな。下の者が欲してるものをすべて持っているから。アルバはとくに、本人は利権にも地位にも興味ないのに、すべて手に入れたタイプだからな」
 冷ややかな声だった。どこかそんな関係を皮肉るような。
 リファはそんなジニアスを見上げたが、いつもと変わらず涼しい横顔である。それがなぜか彼を遠くに感じさせて、ゆっくりと視線を床に戻した。
「……兄弟って、上とか下とかじゃないじゃん」
 ジニアスが言いたいこともわかるし、自分がきれいごとを口にしている自覚があっても、それでもリファはそう反論した。とても小さな声だったが。
「――ああ、そうだよな」
 ジニアスの大きな手が、またリファの髪をくしゃりとなでる。
「そうであってほしかったよ」
 ジニアスがつぶやいた小さなひと言は、リファに届くことはなかった。
「わたくしはアルフレートの神官、アルバと申します」
 リファとジニアスが話している間、アルバは優雅に礼をして挨拶をしていた。
「オオガミ様に関するいっさいを取り仕切っております私から、現状を報告させていただくとすれば……」
 金色の美しい髪を今日はうしろでひとつで結んでいるので、いつもより二割ほど真面目さが増している。口調も公の場に合わせているので、大人の変わり身をリファは目の当たりにさせられた。社会人時代を思い出すリファだった。
「我らが崇拝すべきオオガミ様はいまだ深い眠りの中におります。祭壇に変化はなく、我々の願いも虚しく、ただ静(せい)謐(ひつ)があるのみ――」
 いかにも神に仕える人間のような言葉回しで、アルバは話をけむに巻こうとしている。
「〝我々の願い〟?」
 しかしニカは、すばやくそこに反応した。
「貴殿らは、邪神オオガミの復活を願っているというのか?」
 ニカの鋭い声に、広間がしんと静まった。
 リファの隣で、ジニアスは頭をかかえている。
「……ニカ殿」
 アルダンがゆっくりと立ち上がる。
 まとっていた長衣のすそがはらりと落ち、玉座の前の階段まで垂れた。
「我々にとってオオガミ様は崇拝すべき神。他国の使者であるあなたが、人々の間でまことしやかに噂されている俗説をあてはめるとは無礼千万」
 毅然とした態度でそう断じたアルダンに、ニカは思わず怯んだようだった。
「……失言を謝罪します。しかし我々は、その俗説を信じる人々の不安を払しょくする――そのためにこの国まで使わされたのだ」
 ニカはニカで自分の正義を貫こうとしている。
 この話し合いはどう収まるのだろうとリファがはらはらと見守っていると。
「まあまあまあまあ」
 よく響く低音の声が、場の空気を引き裂くように張り上げられた。
 ジニアスである。
 颯爽と広間の中央まで歩いていき、王と使者の間に割って入った。
「ジニアス!?」
 リファは思わず、カーテンを握りしめて叫んだ。
「これじゃ話し合いは決裂しちまう。ここはいったん両者大人の対応として引き下がったらいかがか」
 中央でくるりとまるで道化のように回ってみせ、ジニアスはあけすけに笑った。
「俺の顔に免じて」
 首をすくめてかわいらしく言ってはいるが、いったいどの顔だ?とリファはツッコまずにはいられない。
 しかしなぜか、アルダンもニカも不愉快そうなそぶりも見せなかった。むしろお互いため息をついて肩から力を抜いたようである。アルバはもとより、ジニアスの登場と同時にすっと玉座の裏に隠れて笑いをこらえている。
「俺の美しい顔でも見て落ち着きな。休憩しようぜ」
 鶴ならぬジニアスのひと言で、この場は一時休戦となった。

◆女ロリコンとの茶会
「かっわいいいいいい」
 リファは今、いけにえにされていた。
「なんてすべすべもちもちのお肌なの。その金色の髪はまるで日射しを糸にして織ったようではないか。そしてその瞳は、どんなサファイヤより美しい……」
 目をハートにしたニカが、自分の語彙力を総動員してリファを褒めちぎっている。
「なんて愛らしくて素敵なんだろう。あなたはいったいどこで生まれたんだ?」
 ニカはでろでろに溶けた顔でリファに微笑みかけた。
 リファが生まれた国名を口にしようとすると、ニカは慌ててリファの唇に人さし指をあてて黙らせた。
「大きな声では言えないね。あなたの生まれは」
 ニカはきざったらしい仕草でウィンクすると、真上の青空を指さした。
 リファ、初めて女性に鳥肌を立てるの巻き――。

 雪のやんだ青空の下で茶会をしているリファとニカを、ジニアスとアルバは遠くから見守っていた。寒くないように風を遮る白い布が張られたなかは、いくつかの焚き火が炊かれ、温かいだろうに、リファの顔は青ざめている。
「オリエイエの方は、なかなかに強烈でいらっしゃる」
 それなりの距離はあるが、ニカの仕草とリファの表情でどんなやりとりがなされているかなんとなく見当がつくらしい。アルバはリファに心底から同情した。
「あれが特殊なんだ」
 ジニアスは一応自国をフォローしている。
 そんなジニアスに、アルバはリファたちへと視線を向けながら礼を言った。
「助かりました。あなたがあそこで割って入ってくれなければ、きっとあの場での話し合いは決裂していた。国同士が一度決裂してしまうと、修復は難しいですから」
「聞いていてめんどくさくなっただけだ。あのオリエイエの人間も、まだまだ未熟さが目立ったしな。同じ国の出身として、ちょっと恥ずかしくなったのさ」
 ジニアスはなんでもないことのように笑った。
「……あなたはいったい何者なんです?」
 アルバの金色の瞳が、ジニアスの炎の瞳とぱちりとぶつかった。
「俺はしがない調味料売りの旅人さ」
 ジニアスはそう言って、助けを求めているリファににこやかにサムズアップした。

「先ほどはすまなかったね」
 リファを褒めるだけ褒めちぎると少し落ち着いたのか、ニカはゆっくりと椅子に腰かけて詰めていた距離をやっと適切なものに戻した。
 リファはほっとひと息ついて、アイとイフが淹れてくれた茶を口に運ぶ。
(あ……)
 先日、街でいただいたお茶と同じ味がする。思わずアイとイフのほうを見ると、にっこりとうなずいていた。あの街でリファにお茶をくれたおじさんのお店から買ってきてくれたのだろう。
 うれしくなって、リファは満面の笑みを浮かべた。
「グハッ……」
 向かいに座るニカが吐血した。
「ニニニニニカさんっ」
 リファは青ざめて彼女に近寄る。オリエイエの使者を流血させたとあっては、ジニアスがせっかく取り持った二国の間にまた亀裂が入りかねない。
「ああ、大丈夫だ、愛らしい天使よ」
 大丈夫じゃなさそうである。
「あなたの笑顔があまりにもまぶしくて……、つい全身の血が沸騰してしまった」
〝つい〟で全身の血を沸騰させないでほしい。
 リファはもう無言で、とりあえずテーブルの上のナプキンを差し出した。
 口と鼻両方から流血しているというのに、その顔面偏差値が高すぎるがゆえにギャグに見えないところが怖い。
「広間でのことといい、君には無様な姿ばかり見せているね」
 まるで王子様然としたセリフを吐きながら鼻血を拭いて、ニカはリファに微笑みかけた。
「……私は、この国に来てまだ間もないけど、この国の人たちから聞くオオガミ様は、決して邪神なんかじゃないと思いましゅ」
 またやってしまった。
 大事なところで噛んだリファを前にして、ニカはもう昇天寸前である。
 空を仰いで、息も絶え絶えに「かっ、かわいい……なんだこれは……現実か……?」とブツブツ言っている。怖すぎる。リファはもう青ざめて震えるしかできない。
「ニカ殿」
 脇に控えていた屈強なオリエイエの男がニカの名を呼んだ。さきほど、広間でニカのうしろに従っていた男たちのひとりである。さすがにリファが憐れになったらしい。遠くでリファをいけにえにした揚げ句サムズアップしたジニアスたちとは大違いである。
「あ、ああ……、すまない。あまりにも天使が美しすぎて」
 そろそろ現実に帰ってきてほしい。
 ニカは頭をフルフルと振って、リファへとまた向き合った。
「すまない。愛らしい子供に目のない人で」
 まったくフォローになってないフォローをして、男はまた脇へと戻った。
 ニカはごほんと仕切りなおしにもならない咳払いをした。
「我々の仕事は、オオガミが邪神であるかどうかではないのだよ」
 ニカがやっとまともに話そうとしてくれたので、リファはもう余計なことはしまいとただ真面目にうなずいた。
「真剣な顔もすてきだね」
 ニカのとろけるような笑顔を前に、リファはすべてをあきらめた。
「百年前、この邪教の神が自国を守るため大掛かりな魔法を使ったのは知っているかい? ……そうか、偉いね。それによって周囲にあった森が吹き飛ぶほどの、大国を一瞬で滅ぼすほどの力を、オオガミは内包しているということだ。意味がわかるかな? 私の言葉は難しくない?」
 ニカは意外にもとても丁寧に話をしてくれた。リファには難しそうな単語を口にしては、立ち止まってリファが理解しているか確認しながら進めてくれる。
 リファが「わかる」と答えると、ニカはとろけるような笑顔で続けた。
「そう、リファ殿はとても聡明でいらっしゃる。そんな強烈な力を持つ存在を、我々は世界平和のために看過できない。絶対悪ではないのは承知の上だが、その強大な力が伝承通りならば、この世界にはすぎた力ではないかと。我々にとっては未知の存在だ」
 ニカの話は納得のいくものだった。ついアルフレート側に立って物事を考えてしまっていたが、他国の人々にとって、オオガミはたしかに脅威となるのだろう。
 広大な土地を百年にわたり不毛の地にしてしまった神様を恐れる心情はとても理解できる。
「たとえばオオガミが、このアルフレートの人間たちは加護対象と位置づけ、その他の人間はその対象からはずれていたら? 〝神〟という超越した存在に、常識や正義、悪や愛などは、通用しないと我々は思っている」
 もしリファがクロマユを知らなければ、ニカのこの話に納得していたかもしれない。
「オオガミが自分の意志を持つ生き物なのか、はたまた人間に使役されて初めて力を発揮する生き物なのかもわからない。もし後者だった場合、その使役する人間が悪意ある者だったら?」
 リファはそんなこと考えたこともなかった。リファにとってオオガミは、アルバやアイやイフ、そしてビケたち街の人から聞いたオオガミ像だからだ。皆が慈愛に満ちた、守り神としてのオオガミをリファに語っていた。
 けれどニカのそれは、オオガミという存在に触れたことのない人間が抱く、畏怖そのものだった。
「先ほどは、この国の民を盾に取るような発言をしたが、それはあくまで表面上の脅しだとわかってほしい。もしオオガミがアルフレートの民に牙をむくことがあれば、我々が守るつもりでこの地へと赴いたのだ」
 ニカは本来の優しい笑顔で、リファを見た。
「それに、オオガミの力は命を滅ぼすだけではないと聞いたこともあるんだ」
「えっ?」
 初耳である。
「大神オオガミには、善悪関係なく縁を断ち切る力もあるのだそうだよ」
 つまり縁切りの神様ということだろうか。
 リファはそれを聞いて、首筋に残る痣をそっとなでた。
 この人生のひとつ前。リファがいけにえにされて死んだとき、大きな獣に抱きしめてもらったような感覚があったことを思い出していた――。
(あのとき私は、〝なに〟のいけにえにされたんだっけ?)
 リファはニカから聞いたその話が、頭から離れなくなってしまった。

 ――その夜。ニカをはじめとするオリエイエの人々は、城に泊まることとなった。
 とにかく城で疲れを癒やしながら、なにか気になるなら勝手にどうぞ、とのことらしい。クロマユ以外、見られて困るものなどないからだ。ちなみにクロマユは大きなブランケットで巻いた。もしオリエイエの人々に遭遇した場合は、ぬいぐるみに徹してもらうつもりである。

 リファは皆が寝静った夜中に、クロマユを連れてオオガミの眠る石碑の前まで来ていた。その石碑は純白で、傷ひとつ汚れひとつない岩である。大の大人が横に五人並んでも足りないほど巨大な一枚岩を削ったもので、その石碑を囲う祭壇 自体がとても大きい。
 その祭壇に向かって、リファは疑問を投げかけた。
「……あなたは前世で私を抱き留めてくれた、あの獣なの?」
 当然、返事はない。
 祭壇の先の冷たい石碑にそっと触れて、リファは困ったように眉を寄せた。
(もしかしたらオオガミ様が、ひたすら繰り返す輪(りん)廻(ね)の輪から私を解放してくれたのかなって思ったんだけど)
 だからこそ、七度目のこの人生が今までとはガラッと変わっているのではないか。
 もうリファは突然の死に怯えることなく、次の人生の始まりを味わわなくていいのではないだろうか。
「……わかんないよなあ」
 オオガミが話してくれない限りは、解明されない謎だろう。
 もしこれでまた突然の死ののちに新しい人生が始まってしまったら、リファは立ちなおれる気がしない。
 黙り込んだまま動かなくなったリファをクロマユが心配している。
 大丈夫?と首をかしげている様子がかわいくて、大丈夫、とリファは返した。
「ん?」
 クロマユの頭をなでた指先から、小さな芽が出ていた。どこかで引っかけてきてしまったのかと思ったが、このあたりでは見かけない蔦のような植物である。
 その蔦はリファの目の前で、くるりんと伸びた。急成長である。思わず驚いてクロマユから手を離したが、指先にくるりと巻かれた蔦と芽生えた葉っぱはふわふわと揺れている。
 思わず、地面にこすりつけてその芽を落とそうとするが、土を見つけた蔦はおいしいごはんにありつけたと言わんばかりに颯爽と地面に根を張り、ぶわっと増殖してしまった。葉と根はざわざわと音を立てて大きく大きく成長していく。
「く、クロマユ」
 その様が大きな蛇がうごめいているように見えて、リファはクロマユにしがみついた。
 クロマユはのんきに「ピ」と鳴いている。
 そしてあっという間に、祭壇の周囲に緑の輪ができあがった。それも、このあたりでは見かけないようなみずみずしく茂った植物の輪である。なんという名前の植物なのかはわからない。けれど見ていると、あきらかに通常の成長速度とは違う速さで花を咲かせている。白く愛らしい小さい花が、まるで降り積もる雪のように輪の形に広がった。
 リファは思った――「これはやばい」と。
 誰も見ていないことをいいことに、リファはその場から逃げた。松明(たいまつ)があってよかった。帰り道がすぐわかる。
(なんかどう使ったらいいかわからない魔法が使えるようになってしまった)
 必死に自分の部屋へと向かうリファの足跡から、美しい緑の植物がひとつ、またひとつと芽吹いて、緑の小路をつくっていったのだった。