「んっ……!」


 不意に、背後から伸びた手が私の代わりに本を抜き取る。

 直後、


「これ?」


 聞き覚えのある声が、耳を撫でた。

 振り返った先にいたのは予想していた通り、


「……大路君」


 オオカミ――大路君で。