24時の鐘と俺様オオカミ

「ああ、ねーよ。俺がやりたくてやってるだけ」


 脱脂綿に消毒液を染み込ませ、傷口を優しく撫でる。

 絆創膏の紙を剥がすその一連の動作を見送ったあと、


「何様ですか」


 と言葉を投げた。

 本当は……気づいていてくれたことや、今こうして手当てしてくれていることに感謝したいのに。

 けれど大路君は、怒るわけでもなく、


「何様って、王子様」


 愉快そうに、くつくつと喉を鳴らした。