―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

2回目のデートは次の日曜日になった。
前回と同じように午前中のうちに龍道コーチが車で透子を迎えに来た。
青空に大きな白い雲の塊がのんびり浮かんでいる。
空はすでに夏模様だ。
車に乗り込むと龍道コーチが「この間の天龍でのバイト代を払わなきゃな」と、助手席でシートベルトをかけている透子に顔を向けた。

「いくら欲しい? お金じゃなくて服でも指輪でもなんでもいい。なんなら体でも――」
「じゃあ体で」
「え?」

自分で言いだしておきながら“体”と即答した透子に龍道コーチは戸惑いの色を見せた。

「体が、いいのか?」
「体が、というか技術」
「技術? ど、どんな技が好きなんだ?」

龍道コーチはわずかにうろたえる。

「的確に速く、強く、かな」
「的確に、速く、強く……そういうのが好きなのか?」

透子はうーんと少し考えて、「あ、やっぱり長く続けたいかな」と訂正した。

「長く続けたい……」

本気で言っているのか冗談なのか。
龍道コーチが透子の表情をうかがうと、透子は前を向いたまま、とてもとても真面目な顔をしていた。