―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

「ファミレスじゃなくて、青山あたりで美味しいイタリアンでも食べよう」
「そんな時間はないのよ」
「え? 今日は一日デートのはずだよな」

透子は龍道コーチをちらりと睨んだ。

「そうね、朝からデートだと思っていたわ」
「だからバイトの件は悪かったって。これからその分挽回するから」
「今日は時間ないのよ」
「だからなんでだよ」
「夜も陳さんのお店を手伝うことにしたから4時半には戻らないと」
「は?」
「夜も人手が足りないみたいなの」
「だからってなんで水之さんが。だったら俺が手伝うよ」
「いいわよ。もう約束したし」
「じゃあ俺も一緒にやるよ」
「龍道家の御曹司が行ったら陳さん、恐縮しちゃうからいいって」
「しないよ、親父から指示されているくらいなんだから」
「するわよ、気を遣うって」
「遣わないって」

ファミレスで食事をしながらもこの話題はぐちゃぐちゃ続き、結局また2人で店に戻った。
透子と龍道コーチが一緒に現れたのを見て、陳さんは「やっぱり新君も来ると思った。そうでなくちゃね。
彼女一人だったらお父さんに電話して説教するところだったよ」と目を細めた。

「ほらな」

龍道コーチが透子のおでこを指でつついた。