―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

ランチタイムの手伝いを終えたときには午後2時半を過ぎていた。
店はいったん閉めて、夕方5時からまたオープンする。
準備もあるからそれほど休む時間はない。
人手が足りないのでなおさらだ。
昼食を作るから食べていってよ、という陳さんの申し出を断って2人は店を出た。
ふぅと透子は息を吐き出した。
飲食店で働いたのは、大学生の時のファミレスでのバイト以来だ。
最初は皿を運ぶのもオタオタしたが、まあなんとか手伝えたかなとホッとして、透子は青い空に腕を高く伸ばした。

「なんか久しぶりに働いた気がする」
「会社で働いてないの?」
「働いているわよ」

透子はムッとして龍道コーチを睨んだ。

「で、どうして週末まで働いているのか、そこ理解しているわよね?」
「してる。いや、本当にごめん。悪かった」

めずらしく龍道コーチが殊勝に頭を下げた。

「じゃあ、近くのファミレスでランチご馳走してくれるかしら」

いつもはしっかり食べる朝食を今朝はコーヒーとバナナで軽く済ませた上に労働したのでお腹が空いていた。
ここに来る途中、住宅街に入る手前の国道沿いにダイナーズがあり、そこでのランチメニューを透子はもう頭の中で思い浮かべている。