―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

「ここって」

「そう龍道家御用達の店。麺も美味しいんだ」

それはますますまずいのではないかと思ったが、泉コーチは車を降りると透子の戸惑いなどお構いなしに店に入っていった。
用心しながら透子も続く。

店内は入り口の風貌から想像したよりは広く、5人掛けの丸テーブルが4つに4人掛けのテーブルが5個、2人掛けのテーブルが5個ほどあって、住宅街のひっそりした場所にあるのに客で7割ほど埋まっていた。

その中の一人、4人掛けの角席に陣取っている男が透子たちに向かって手をひらひらさせている。

「あっ」

透子は思わず泉コーチの陰に隠れて顔をそむけた。
まさかの龍道コーチ自身に会うとは。
だから言ったじゃないかと、泉コーチのシャツを後ろから引っ張るが、泉コーチはやはり気にせず龍道コーチの席に向かっていくので、透子もうつむきながら後に続いた。

龍道コーチの向かいに座った泉コーチが水之さんはそっちねと、龍道コーチの隣を指す。
もしやこれは泉コーチの嫌がらせか? と思いながら、透子は開き直って龍道コーチの隣に腰を下ろした。