昨晩パーティで息子が透子と付き合うと宣言したと龍三から聞いた母の桜子は、自分も透子に会ってみたいと言い出し、それなら今日歌舞伎を見に行く前に銀座で一緒にお茶でも飲もうじゃないかと龍三が提案したのだという。
息子に輪をかけて両親はマイペースのようだ。
不意打ちの展開に話を合わせるしかなかったが、どういうところが好きなのかと急に聞かれても答えに詰まる。
答えを待って透子を見つめる夫妻から視線をはずして透子は思案した。
ルックス以外で龍道コーチの好ましいところを慌てて考えてみる。
レッスン中の彼は口が悪くて乱暴だし、レッスン以外では自分勝手で強引だ。
うーんと小さく唸る。
恋人らしい答えが思い浮かばない。
答えに詰まる透子の横から龍道コーチ自らが助け船をだす。
「ほら、優しいとか」
昨晩送ってやっただろ、今朝は仕事を片付けてやっただろと耳元で恩着せがましく言う。
「まあ確かにそうねえ」と同意した。
「あと忍耐力があるとか」
さらに自らの良いところを上乗せしようとする。
「それは……ないよね」
「思慮深いとか」
「それは……もっとない気がする」
「おい、いい加減にしろよ。他にもいろいろあるだろ」
ハッと正面に顔を向ければマヤさんは口をキュッとつぼめて目を細め、龍三と桜子は訝し気な表情で透子を見ていた。
息子に輪をかけて両親はマイペースのようだ。
不意打ちの展開に話を合わせるしかなかったが、どういうところが好きなのかと急に聞かれても答えに詰まる。
答えを待って透子を見つめる夫妻から視線をはずして透子は思案した。
ルックス以外で龍道コーチの好ましいところを慌てて考えてみる。
レッスン中の彼は口が悪くて乱暴だし、レッスン以外では自分勝手で強引だ。
うーんと小さく唸る。
恋人らしい答えが思い浮かばない。
答えに詰まる透子の横から龍道コーチ自らが助け船をだす。
「ほら、優しいとか」
昨晩送ってやっただろ、今朝は仕事を片付けてやっただろと耳元で恩着せがましく言う。
「まあ確かにそうねえ」と同意した。
「あと忍耐力があるとか」
さらに自らの良いところを上乗せしようとする。
「それは……ないよね」
「思慮深いとか」
「それは……もっとない気がする」
「おい、いい加減にしろよ。他にもいろいろあるだろ」
ハッと正面に顔を向ければマヤさんは口をキュッとつぼめて目を細め、龍三と桜子は訝し気な表情で透子を見ていた。

