―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

龍道コーチは、「ふーん」とつまらなさそうにデータ一覧を眺め、「OK」と言うと、早く行けとひらひら手を振った。

シャワーを浴びると透子はゆったりとしたリネンの白いワンピースに着替え、髪と顔をざっと整えてリビングに戻った。
PCの前に座っているはずの龍道コーチはソファに寝転んで目を閉じている。

やっぱりね、と思いながら透子はPCに近づいた。
データを整理してグラフを作る作業は慣れていないとすぐにはできない。
多分、龍道コーチはうまくいかずに途中で面倒になったのだろう。
そう思ってモニターをのぞいた透子は「うそ!」と、声を漏らした。

データはカテゴリー別にまとめられ、棒や折れ線、円グラフなどそれぞれに適したグラフが添えられていた。
さらにその結果をもとに分析したコメントまで書かれている。
透子がシャワーを浴びて身支度をするまでのわずか30分程度ですべて終えていたのだ。
驚いて振り向くといつのまに起きたのか、龍道コーチが後ろに立っていた。

「完璧だろ」

にやっと笑う。
頷いて透子はもう一度PCに目を向けたが、龍道コーチがパタンとカバーを閉じる。

「早くしないと日が暮れる」

まだ午前中なのにそんなことを言って透子を急かせた。