―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

「混じってもいい?」
「どうぞどうぞ」

透子は泉コーチのためにスペースを開けた。

「水之さん、そのドレスすごく似合ってるね。スクールのときと全然雰囲気が違う。きれいで見違えちゃった」

きれいとかこの若さですらっと口にしちゃうところは、さすがドラゴンウエイの人気コーチだ。
女性を褒め慣れしている。

「馬子にも衣装でしょ」

さきほどの田淵の言葉を借りて透子は照れた。

「でもどうしてこのパーティに? 僕は新さんに強制的に呼びつけられたんだけど」
「私はマヤさんからご飯食べようって誘われてきたの。実はこのワンピも借り物」
「へえ~実はこのパーティ、龍道コーチのお相手探しでもあるらしいよ。服も用意されていたなんて、水之さんも候補に入っているんじゃない?」
「ありえないでしょ。だいたい龍道コーチなら相手に不自由しないでしょ。それなのにお相手探し?」
「そうなんだけどさ、新さん、彼女も作らないからお父さんがせっついてるんだよ。早く結婚して後を継いでもらいたいんじゃないかな」

ほら、新さんの隣にいるのがお父さん、と教えてくれる。

大柄ではないが頑強そうな体をしている。
角張った輪郭に太い眉毛と優しそう目は、人情溢れる刑事役が似合いそうな顔つきだ。
龍道コーチにもマヤさんにも顔の造作が似てないなと思ったが、龍道コーチが父親に何かを話しかけ、それを受け手3人一緒に笑っている顔はやはりどこか似ている。
同じ雰囲気を醸し出している。

「やっぱり透子さんも候補にノミネートされてるのかもよ。だって……」

龍道コーチの指示なんだから――と田淵が後を続けそうなのを遮って透子は「ありえないってば。でもだから可愛い女の子が多いのね」と、改めて会場を見渡した。

「確かに」

田淵も首を回す。

「で、明日はなにがあるわけ?」

このまま話題を変えようと、透子は「明日ひま?」と聞かれたところまで話を戻した。