―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

3回目のデートはピーカンの日曜日。
青い空を飛んでいく鳥の黒い羽根も焦げるのではないかと案じるほどに暑い。
透子は手に持ったつばが大きめのキャスケットをかぶり、ショルダーバッグからハンカチを出して額に当てた。
こんなに暑くて自分だって「暑い暑い」と騒いでいるくせに、連れていかれたのは明治記念公園のサイクリング場だった。
ガラス入り舗装されたキラキラ光るサイクリングロードを眺めながら「最高のサイクリング日和だな」と、龍道コーチは白い歯を見せた。

「この暑さで?」
「気持ち良さは、きっとこの暑さを超える」

炎天下でも雨降りでも、外で走り回って遊ぶ子供ならそうかもしれないけれど。
透子はまぶしさに目玉まで灼けてしまいそうな路面を眺めた。

「私は気持ちよさを暑さが超えてしまうと思うけどな」
「大丈夫だよ」

何が、どう大丈夫なのか。
そんな会話をしている間にも肌が焼けていくようだ。
夏の日差しに肌を無防備にさらしていい時代はとっくに通り越している。
美容に無頓着な透子だって日焼けには気を遣う年になったのだ。

「知ってる? 女性はみんな紫外線を恐れているって」

自転車の貸し出し場に向かって足早になる龍道コーチの背中に問いかけた。

「水之さんも?」
「もちろんよ。紫外線はシミとしわの元だもの」
「いいよ、俺は構わない」