―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき

ドラゴンウエイでのレッスンの後、もう一緒に帰ることはしなかった。
金子さんに後を付けられて以来、龍道コーチは駐車場を出るたび彼女の気配を感じるという。
さすがにいくら優雅な主婦で龍道コーチのファンだとは言え、そんなことはしないだろうと笑っていたが、透子はレッスン帰りに金子さんが車を路駐し、誰かを待機しているかのような様子を何度か見かけた。
まんざら彼の思いこみではないかもしれない。

それにここのところ龍道コーチは新たにスポーツウエアブランドを立ち上げるとかでとても忙しく、透子のいるクラス以外はコーチをはずれた。
その分、透子のクラスは益々生徒が群がり、2人で一緒に帰るどころではなくなった。

しかしそんなに忙しいのに週末は必ず予定をあけておけという。
土曜になるか日曜になるかは直前にならないとわからないけど、絶対に会うからと。
まるで本当の彼氏みたいなことを言う。

約束は1か月間。
週末はあと2回しか訪れない。
透子はしぶしぶ承知した約束のはずなのに、あと2回で終わりと思うと想像しなかった寂しさが胸に広がる。

マジになると後がつらいよ――田淵の忠告を振り払うように透子は小さく頭を振った。