次の日曜日。
 私と成瀬君は、電脳都市『楽葉原(らくはばら)』にてデート中。

 前回と同じく、まずはアニメショップで新作アニメのグッズ、それからラノベ専門書店で新刊をそれぞれチェック。
 ランチはアニメタイアップカフェのランチだ。

 今日のランチは以前、互いにお願いした事のすり合わせも兼ねている。
 小説家志望の私はラノベ作品の執筆、イラストレーター志望の成瀬君は私の作品を読み込み、イメージイラストを描く事。

 私の小説は読者がつくブックマーク、読まれるPVともそこそこという感じ。
 まだまだ発展途上。
 勉強とチャレンジあるのみ!

 成瀬君は私の作品をほめ、読者として感想を述べてくれる。

「ゆい、お前のラノベ面白かったぞ」

「あ、ありがと!」

「感想は……あくまで俺の、個人的にはだけど。もっと登場人物の気持ちの描写があった方がグッド。それと展開がもう少し早い方がワクワクするな」

「了解! いろいろ考えて、対処してみるよ。重ね重ねありがとっ!」

「それで……これが俺の描いたイラスト。どうだろう?」

 成瀬君はスマホに保存したイラストデータ画像を見せてくれた。
 見せてくれた画面には……私の書いた登場人物が、女子も男子も、騎士も魔法使いも、妖精も魔物も、華麗に美しく躍動していた。

 す、すごい!
 素敵っ!

 私が夢中になり見ていると、成瀬君はちょっと照れ気味。

「う~ん。俺のイラスト、まだまだ素人の域を出ないよなぁ……」

「何言ってるの! うまいよっ! すごいよっ! わ、私! このイラストにふさわしい作品になるよう、頑張るっ! もっともっと勉強して作品を書きまくるっ!」

「おお、そうか! ゆい、よければ俺のイラストにも感想を言ってくれよ」

「りょ、了解! わ、私で良ければ」

「おう、ガンガン言ってくれ!」

 私と成瀬君は双方の『作品』について、いろいろ話した。
 正直に、でも相手を尊重しつつ。

「ああ、やっぱ! ゆいとラノベやマンガ、アニメの話をしていると最高に楽しいなあ。これからもず~っと頼むぜ」

 実は最近考えていた事がある。
 成瀬君へ相談してみよう。

「私こそっ! ねぇ、成瀬君」

「おう!」

「ちょっと、相談。自信がなくてずっと内緒にしていたけど……私、白鳥さんへ、ラノベ書いてる事言おうと思うけど」

「ああ、実は俺もさ」

「成瀬君も?」

「おう! ゆいに相談してから、イラスト描いてる事、白鳥さんへ話そうと思ってたんだ。この前学校の屋上で一緒にランチしてた時、彼女、自分の将来というか、夢を話していたものなあ」

「ええ、白鳥さん、目をきらきらさせて話していたよね。絶対、ファッションデザイナーになりたいって!」

「うん! 俺はイラストレーター、ゆいはライトノベル作家。白鳥さんはファッションデザイナー。俺達みんな将来への夢を持ってる。気合入れて頑張ろうなっ!」

「ええ、頑張ろう!」

「おお、そうだ。気合が入ったところで提案だ」

「提案?」

「ああ、来月、例の集団デート。ファンタジーユートピアのデート企画があるじゃないか」

「うん、楽しみだね」

「俺決めた。その日、記念日にするぞ」

「え? 記念日って?」

「おうよ! 俺、ゆいが俺の彼女だってはっきりさせるつもりだ」

「ええっ? すごく、う、嬉しいけど……どうするの?」

「それは当日のお楽しみだ」

「お楽しみって……」

「ははは、まあ任せろ。俺の親もさ。白鳥さんのところと一緒だ」

「白鳥さんのところと?」

「ああ、俺が明るく元気に、前向きになったのは、ゆいのおかげだってすっげぇ、喜んでる。オヤジとオフクロから、今度ゆいをウチへ連れて来いって、厳命された」

「うっわ! 厳命? 成瀬君のお父さんとお母さんが?」

「おう! オフクロがさ。ゆいの写真見せたら、とても可愛い子ねって、ほめてたよ」

「えええっ!? ま、まさか」

「本当だって! ゆいは絶対に化粧映えするから、ばっちりモデルみたいにメイクするって。オヤジはさ、全員で記念写真撮ろうって張り切ってたよ」

「えええっ!? プロのおふたりが? お母さんが私にモデル風メイク? お父さんが写真? 恥ずかし~、ヤバイ。緊張するぅ」

「ははは、大丈夫だって。帰る時はメイクは落とすって言ってたしな」

「う~、すっぴん……成瀬君にも見せたくない~」

「ははは、帰る時はナチュラルメイクにするから大丈夫だって、オフクロが言ってたよ。基本メイクする時はゆいとふたりっきり、メイクルームで。それと俺には仕上がり顔しか見せないって」

 そんなこんなで……
 2回目の楽葉原デートは盛りだくさん。
 夢と希望の嬉し恥ずかしデートとなったのである。