土曜日。
 今日は成瀬君と白鳥さんがウチへ来る日。
 
 約束の時間はこの前と同じく午前10時30分。
 今日は私と成瀬君と白鳥さん、そして私の両親と『サンドイッチ祭り』
 趣旨はお父さんへの成瀬君の紹介。
 
 この前と同じ……10時30分少し前。

 ピンポーン!
 チャイムが鳴った。
 インターフォンモニターに映っているのは……成瀬君と白鳥さん。
 そして白鳥さんを送って来た運転手の田中さん。
 打合せ通り、成瀬君が早く来て、エレベーターホールで待ち合わせしたのだろう。
 
 成瀬君、白鳥さんとは、すでに会っている。
 だから、もうお母さんは余裕だ。
 お父さんは……緊張しているのか、「そわそわ」してる。

「準備はいい? お父さん、お母さん、成瀬君と白鳥さんを迎えに行くよ」
「おいおい、ゆい! ま、ま、待ってくれ」
「お父さん、落ち着いて」

 ガチャ。
 開錠し、ドアを開ける。

 成瀬君、白鳥さん、田中さんの3人が立っていた。

「来たよ、ゆい」
「ゆい! 来たよおっ!」
 
 元気に私へあいさつした成瀬君と白鳥さん。
 ウチの両親を見て、礼儀正しくあいさつする。
 
「お母さん、先日はありがとうございました。初めまして! ゆいさんのお父さんですか? 成瀬悠真です。宜しくお願いします」
「お父様、初めまして、白鳥礼華と申します。お母様、またうかがっちゃいました。先日はありがとうございました」

 今日も成瀬君は服こそ違うが、メンズファッション雑誌から、抜け出たみたいなおしゃれな服装だ。
 そして白鳥さんも、ブランドもののワンピースをシックに着こなしていた。
 「ふたりとも、売れっ子のモデルです」と、私が言っても全く違和感がない。

「………………」
「あらあら、おふたりとも、よくいらっしゃいました!」

 固まってしまったお父さん。
 打合せ通り、余裕しゃくしゃくのお母さん。

 運転手の田中さんは以前のように丁寧に挨拶して、一旦引き上げた。

 こうして『援軍』のふたりを加え、『お父さん攻略』共同作戦は順調に進行したのである。