私と成瀬君、お母さんの3人で調理した『サンドイッチ祭り』は大好評のうちに終わった。
 お母さんは成瀬君の事をすっかり気に入ったようである。

 しきりに、「料理をする男子というのは好ましいわ」と言う。
 多少、面食いの傾向もあるに違いない。
 私をよそに、嬉々として成瀬君と話しているから。

「成瀬君、サンドイッチ祭り、またやりましょうね。今度はうちのお父さんがいる時に?」

「お母さん、本当ですか? 俺またうかがって構わないのですね?」

「ええ、成瀬君ならば大歓迎よ。いつでも来てちょうだい」

「でも俺、お父さんに嫌われたくないです」

「大丈夫! 私が成瀬君の味方になるから。ゆいとふたりで同盟したら、絶対勝てるわよ」

「いえでも、ゆいの事、お父さん、とってもかわいがっているって聞きましたから」

「そうなのよぉ。ええっと……うちのお父さんにはね、何か趣味の話できっかけを作れば良いと思うわ」

「趣味? たとえば?」

「釣り……かしら」

「良かった! 釣りならウチのオヤジが大好きなんで船にも乗りますし、海、湖、川、いろんな場所へガキの頃から一緒に行ってます」

「それはとても良いと思う。ウチのお父さん大の釣り好きだから、絶対話が合うと思うわ」

「最近はアニメとラノベに、はまっているんで、釣りに行く頻度はだいぶ減りましたけど」

「へえ、アニメとラノベにね。意外だわ。でもアニメのおかげで、ウチのゆいが成瀬君と巡り会ったから大感謝ね」

「ええ、ホントそうですよ」

「ねぇ、成瀬君のご両親。ゆいから聞いたけど、お父さんがカメラマンで、お母さんがメイクアップアーティストなの?」

「そうです」

 あはは……
 お母さんたら! 根掘り葉掘り聞いちゃって!
 わきで聞いてるだけで、私も成瀬君の事が改めてよく分かっちゃう。

 成瀬君、いつも優しいけど……今日もすっごく優しかった。
 私の為に一生懸命考えてくれた。
 
 そしてウチのお母さんにいろいろ気をつかってくれて、本当にありがとう!
 私も成瀬君の役に立ちたいと強く思う。
 成瀬君! 大好き!
 
 こうして……
 成瀬君の三島家訪問は大成功に終わったのである。