「ゆい、あなた……彼氏が出来たでしょ?」

 いきなり!
 成瀬君が投げるような、ど!が付く直球ストレート。
 お母さんはズバン!と投げ込んで来た。

 普通の事ではそんなに驚かない私。
 でも、成瀬君の事に関しては、さすがに戸惑い、動揺してしまう。

「か、か、か、彼氏って!! おおおお、お、お母さんっ!! なななな! な、なにを! いいい、言ってるのぉ!!」

「うふふふ、とってもわかりやすい子ね、ゆいったら。そんなにきょどってバレバレなのよ」

「バババ、バレバレって……」

「あはは、やっぱ彼氏が原因か、ゆいがここまで変わったのは。なるほどねっ!」

「お、お母さん! な、なに、勝手に納得して、決めつけてるのっ!」

 私が反論しても、お母さんに攻撃は効かない。
 どこぞの魔王みたいに全て無効化されてしまう。
 うなずきながら「にっこにこ」している。
 
「うんうん! ゆい!」

「は、はいっ!」

「いいかげん、白状しなさい」

 ああ、逃げても……回り込まれてしまった。
 もう覚悟を決めるしかない。

「はい。彼氏……います。というか、少し前にできました……」

 私が正直にカミングアウトすると、お母さんはさらに、にんまり。
 すっごく嬉しそう。
 女親って、こういうもの?

「わお! ついについにっ! ゆいにも彼氏かぁ! で、どんな子? 写真ある? 今はスマホで簡単に写真が撮れるでしょ?」

「ええっと、写真もある」

「写真もって、他にもあるの?」

 うっわ、チェックが細かい。
 しっかりと突っ込まれてしまった。

「ええっと……プリクラ撮った」

「うんうん! 両方見たいっ!」

 と、いう事で……
 私は、興味しんしんなお母さんへ、スマホに保存した成瀬君の写真、先日、楽葉原(らくはばら)で撮ったプリクラを見せたのである。