アニメショップの次はラノベ専門の書店へ。
 私も成瀬君も大のラノベ好き。
 なので、前々から買いたい本をチェックしている。
 新刊、もしくは愛読しているシリーズものの続刊だ。

 今やラノベと言っても簡単にくくれない。
 年配の人はラノベ、イコール『萌え』とか言うけれど、そんなにシンプルなものではない。

 異世界転生ものをはじめとして、他にも追放ものとか、開拓ものとかを良く目にする。

 女子向きだと悪役令嬢ものとか、聖女ものが流行(はや)っている……と思う。
 白鳥さんが大のお気に入りとなったのが悪役令嬢ものだ。

 さてさて!
 話を戻すと、ラノベ好き同士、成瀬君とは同じ作品が好きな場合もある。
 そんな時、会話が底なしに盛り上がる。

 ふたりで書店の売り場を見つつ、話をしながら、私はある事を決意した。
 私は大のラノベ好きがこうじて、作家になりたいと思い、ある投稿サイトにていくつか作品を公開している。

 今まで親しい知りあいに、私が書いた作品を意図して読んで貰った事はない。
 投稿サイトにおいては作家も読者もペンネーム、ハンドルネームである事が多い。
 当然、私もペンネームで小説を投稿している。

 そして私の作品は、読者がそこそこついてくれてはいるが、身内やクラスメートが読んでくれているかは不明だ。

「ねぇ、成瀬君」

「ん?」

「私、成瀬君に相談というか、お願いがあるんだけど」

「何?」

「さすがに、ここではちょっと……良かったらランチしながら話さない? 学校みたいに。シチュエーションは屋上とカフェで全然違うけど」

 詳しい話をしない、私の|懇願に対し、成瀬君は何も聞かずあっさりOKする。

「分かった」

「ありがと」

 お礼を告げた私に対し、成瀬君はにこっと笑い、何と何とサプライズ。

「ゆい、実はさ、俺も相談っていうか、お願いがあるんだけど」

 え?
 何、『相談とお願い』は私だけじゃないの?
 成瀬君の『相談とお願い』とは一体何だろう?
 気になったが、こうなったら、私も気持ちよくOKするしかない。

「良いよ、成瀬君。じっくり聞くし、私が出来る事なら何なりと」

「サンキュ!」

 了解した私に対し、成瀬君は再び、にこっと笑ったのである。