今、私は大好きな成瀬君と手をつないで『楽葉原(らくはばら)』を歩いている!
 ホント、夢みたいだ。

 楽葉原は相変わらずひとが多い。
 いろいろなひとがいる。

 私たちみたいなカップルも大勢いる。
 若いひとが圧倒的に多いけど、結構年配のひともいる。

 あれ?
 どう見ても70歳をこえた同士のカップル?とすれちがう。
 私たちみたいに仲良く手をつないでいる。
 でも、はずかしがったりせず堂々としていた。

 なぜか、ほほえましく嬉しくなってしまう。
 成瀬君も同じ気持ちだったみたい。

「ゆい」

「ん?」

「俺たち、年取っても、ああいうふうになりたいな」

「うんっ! 素敵なふたり。私たちもずっとず~っと仲良しだよねっ!」

「おう!」

 成瀬君はきゅ!と手を握って来た。
 彼の手はやっぱり大きくて温かい。
 心も温かくなって来る。

 そんな浮き浮き気分のまま、アニメショップへ。
 店内へ入る。

 まだ朝早いのに店内はお客さんでいっぱいだ。
 いろいろ物色しながら見て回る。

 ここで発見!

「ゆい、俺たちが出会ったイベントのアニメグッズ、売ってるぞ」

「わあ! とうとう作ったんだ」

 そう、マイナーな作品の為、今までは買いたくともグッズを販売していなかった。
 でも記念すべき初デートの日に売っているとは何というハッピーさなの!

 キャラのフィギュア。
 ぬいぐるみ。
 キーホルダー。
 クリアファイル。
 ボストンバッグ。

 番組ロゴの入ったマグカップ。
 スプーン。
 他にもいっぱいあるっ。

「成瀬君! 出会ったのと今日の初デート記念になんか買お!」

「おお、そうだ。じゃあ俺がマグカップ買う。ふたつ買ってお互いに使う。ペアにするんだ」

「うん、いいね! じゃあ私スプーンと、キーホルダー買う!」

「よし! じゃあ俺はクリアファイルも買おう!」

 と競うように買って、それぞれふたつずつ、全てをお互いにペア使いする事に決めた。

 うわお!
 大好きなアニメグッズ、大量買いっ!
 でも全然惜しくない。

「うふふ、成瀬君。けっこう、おふせしちゃったね」

「ああ、ゆい。いつも番組楽しませてもらっているから、当然のお返ししだな」

「これ、私たち自身のお礼もだよね」

「ああ、俺とゆいを、運命的に巡り逢わせてくれたからな」

 アニメショップの大きな袋を提げた私と成瀬君。
 ふたりは顔を見合わせ、晴れやかに笑ったのである。