棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目




「……りんりん。
 どうか……した……?」


 あっ君の声が、震えている。



「なっ……
 なんでも……っないです……」
 

 私の涙声は、もっと震えている。



「なんでもないって。泣いてるじゃん」


 ひゃっ。
 両手首を掴まれちゃった。



「あっ君、手を放して」



「僕、泣いてる理由聞くまで、
 りんりんのこと、離す気ないからね」




 どうしよう。


 このごちゃごちゃした、
 醜い嫉妬みたいな気持ちなんて

 素直に言えないよ……





 言葉よりも、涙が溢れてきて。


 手で拭いたくても
 あっ君に、両手首を掴まれていて、
 涙を拭えない。

 

 私はなんとか、声を絞り出した。