棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目



「あっ…あっくんって、
 か……カッコいいね」


「思ってないよね?」



 ものすごく思ってるよ。



 まだ全国デビューをしてない
 アイドルらしいけど

 あっくん以上の美男子なんて、
 テレビで見たことないし。




「たくさんの人の前で歌ったり踊ったり、
 私にはできないなぁ」



「別に、すごくもないけど……」



 あれ?

 あっ君、テレてない?

 もう一押しかも。



「いつも女の子たちに囲まれてるし。
 なんで私なんかを、精神安定剤に選んだの?」



「……っえ?」



 褒め倒すつもりだったのに。

 私、吐き出す言葉を、間違えちゃった。




 あっ君が

 私を閉じ込めていた腕を、背もたれから外して、
 固まっちゃったし。




 この重い空気。

 何とかして、とりはらわなくちゃ!