「あっ…あっくんって、
か……カッコいいね」
「思ってないよね?」
ものすごく思ってるよ。
まだ全国デビューをしてない
アイドルらしいけど
あっくん以上の美男子なんて、
テレビで見たことないし。
「たくさんの人の前で歌ったり踊ったり、
私にはできないなぁ」
「別に、すごくもないけど……」
あれ?
あっ君、テレてない?
もう一押しかも。
「いつも女の子たちに囲まれてるし。
なんで私なんかを、精神安定剤に選んだの?」
「……っえ?」
褒め倒すつもりだったのに。
私、吐き出す言葉を、間違えちゃった。
あっ君が
私を閉じ込めていた腕を、背もたれから外して、
固まっちゃったし。
この重い空気。
何とかして、とりはらわなくちゃ!



