「なんで、
あっ君は、アイドルを始めたの?」
「うちの学園の蜜甘理事長に、
前の高校にいた時に、
猛アプローチされてね」
そういえば久美ちゃんが
『国宝級王子様が、
この学園に転校してきたんだよ』って
騒いでた時があったなぁ。
「僕が断っても断っても
『天音君には、
ゾルックに入る未来が見える』って。
占い師の格好で。
水晶玉に手をかざしたりして来て」
フフフ。
あっ君はきっと、
迷惑顔で、逃げ回ってたに違いない。
理事長とあっ君の掛け合い、
見たかったな。
貴族VS悪魔の口喧嘩を
勝手に想像しただけで、面白くて。
顔がニヤケてしまう。
その時。
あっ君の切なそうな声が、
私の耳に入り込んできた。
「心美ちゃんのためにも、
ゾルックに入ろうかなって」
えっ?
ここみちゃん?
…………だれ?
私のニヤケ顔が、一瞬で凍り付く。



