棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目



「これは、天音先輩のお昼ご飯だし……」


 私がもらったら、
 先輩の分が減っちゃうし……




 おかずが乗った、お弁当の蓋を

 天音先輩の方に押し戻したけれど。


「りんりんって、そんな酷い子だったの??」


「ショックぅぅ」と、
 声を震えさせた天音先輩は

 机に乗せた腕に、悲しそうに顔をうずめた。




「だって、
 天音先輩のおかずが減っちゃいますよ」


「大丈夫」


 ん?


「りんりんのおにぎり、一口もらうから。
 それなら、いいよね?」


「いいです……けど……」



 なんか、裏がありそうで……

 怖いような気も……




「やったー」と、両手をあげた天音先輩は

 さっきまで悲しんでいた人とは思えないほどの
 やんちゃ笑顔。




 一瞬の表情変化に

『天音先輩って、なんか可愛い』

 フフフと、笑みがこぼれてしまう。