「りんりん、遅すぎ」


「ごっ…ごめんなさいっ」


「来ないのかと、思っちゃったじゃん」


「友達に話しかけられて……」



 ちょいイラっぽく
 指で机をたたく天音先輩に、
 嘘の言い訳をこぼす。


 


 天音先輩に会えると思ったら
 なぜかドキドキしちゃって。

 美術室に向かう足が、震えて震えて。

 なかなか、たどり着つかなかったんです。
 


 でもそんなこと、言えるわけないよ……



 『好き』

 そんな風に聞こえちゃうと、困るから。
 



 恋とは明らかに違う、正体不明のドキドキ。



 多分。

 学園のアイドルとの密会が、スリリングで。


 ジェットコースターに乗る前のようなドキドキに、
 襲われているだけだと思うけれど……