「可愛い鈴に、クレープおごってあげるから
 そんな顔しないの」


 瑠奈ちゃんは笑いながら、
 私の頬を突ついてきたけど。


 親友の大好きな笑顔でも、
 拭いきれない苦い想い出。




 勇君。


 私のことを好きじゃないなら

 なんで中3のバレンタインに
 私からの告白にOKしたの?



 付き合っていた1か月間。


 両想いだって、勝手に勘違いして。

 私は勝手に、浮かれてたんだから……




 このことを唯一知っている瑠奈ちゃんの胸に、
 泣き出しそうな顔をうずめ。


「クレープより、パンケーキがいい……」


 理想のお姉ちゃんに、私はワガママをこぼした。