「ギュってしても、いい? 
 いいよね?」



 机にカバンを置いた、あっ君。


 私の返事なんか聞かずに、
 いきなり私を後ろからギュっ。



「僕の精神安定剤は、
 なんでこんなに、抱き心地がいいの?」

 と、私の頭をナデナデ。



 うぅぅぅ。
 
 大好きな人に、包まれてる幸せ感。


 私の体中の細胞が、贅沢すぎ!って
 飛び跳ねて喜んでるよ。




「りんりんの描いてくれたゾルルね、
 ゾルックのマスコットに採用されたんだよ」


「本当?」


「すっごく厳しい、鬼マネージャーも
『完成度高すぎ』って、褒めてたんだから」



 信じられない。

 私が描いた絵が、
 初めて誰かに認められたんだぁ。



「着ぐるみ作ったり。グッズ作ったり。
 4コマ漫画とか、ライブ中の演出で
 バックスクリーンに登場させる案も、出てるんだ」


 なんか、夢みたい。