「天音さ、オマエみたいな奴を
なんて言うか知ってるか?」
「へ?」
「へたれ、天使悪魔」
何……それ……
綺月君のイヤミの固まり声に
――プッチーン。
高ぶる怒りに耐えきれず
血管の切れたような音が。
「綺月君は、勝ち組人生しか知らないから、
そんなこと言えるんだよ!」
綺月君にぶつける声も、
荒々しくなってしまう。
「俺だって、傷つくことくらいあるし」
「綺月君の心の傷なんて、
絆創膏を貼っておけば
勝手に完治する程度でしょ?」
「天音、俺のこと舐めてんの?」
「舐めたくても、
僕は同じ土俵にすら立ってないじゃん」
「は?」
「僕なんか、小学校からいじめられて」
「で?」
「無視とかイヤミとか暴力とか。
痛みにずっと耐えてきたんだよ」
「今は違うだろ?
アイドルとしてステージに立って、
『王子』とか『天使』とか、
キャーキャー言われてるじゃん」
「ファンの子達が見てるのは、
僕の表面だけだよ」
「そんなこと……」
「どうせすぐに、僕はファンから飽きられて。
真っ暗闇人生に逆戻り。
そんなこと、わかってるんだから」
「…………天音なぁ」



