「弱ってる時を狙うなんて、
 綺月君ってどれだけ卑怯なの?」


「オマエが言うな!」


「僕をけなしたいなら、遠慮なくどうぞ」




 僕はもう、諦めモード。


 まっ。

 業火で心をあぶられた方が

 失恋の痛みも紛れるから、良いんだけど。




「天音さ、そろそろ
 ダークヒーロースーツ、脱げよ」



 綺月君は立ったまま、
 三角座りの僕に、膝をぶつけてくる。



 ダークヒーロー?

 スーツ?


 言ってる意味が、分かんないんだけど。




「オマエは、自分がヒーローだって
 わかってねぇだろ?」


「僕がヒーロー?」



 違うでしょ?


 僕なんて、
 過去の闇を背負いすぎて、身動きが取れない
 地縛霊でしょ?


 キラキラなヒーローと
 かけ離れすぎてて、失笑だよ。