椅子に座ったまま、足首をさすっていると

 透明感のある、あっ君の声が、
 私の耳に降ってきた。




「りんりんって、一番星みたいだね」


 私が……一番星?



「その輝き。
 僕と一緒にいたら、くすんじゃうね」



 見上げると、あっ君は真剣な顔で

 窓の外を見つめている。




 一番星って、どういうこと?

 くすむって、どういうこと?



 聞き返そうと思ったのに、できなかった。


 だって……



「りんりんも、
 椿ちゃんと仲良くしないとダメだよ」


 聞きたくない名前が、
 あっ君の口から飛び出したから。




 椿ちゃんかぁ……

 そんな親し気に呼んでるんだね。




 あっ君が外を眺めたまま、フッと笑った。


 真ん丸な瞳が、なくなっちゃうくらい
 ゆるっとした優しい笑顔。



 今、椿ちゃんを想って微笑んだの?



 二人は美男美女すぎて、お似合いだよ。


 お似合いすぎて……

 
 もう私、あっ君を想い続けるのが
 苦しくなっちゃったなぁ……