棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目




「意地張ってないで。
 僕の肩、貸してあげるから」


「ひゃっ!いっ…嫌です! 絶対に嫌!」



 僕の顔にツインテが当たるほど

 髪を乱して、全力拒否って。



 
 さすがの僕も、もう限界。


 ひたいのどこかが、
 プチプチってキレたんだけど……




「キミは、僕の肩じゃ不満なの?」


「えっ?」


「そっか、そっか。
 お姫様抱っこが良いんだね~」




「あっ」とか「わっ」とか
「きゃっ」とか。


 言葉にならない声で、
 アタフタしている、りんりんなんて、
 僕は無視。



 
「天音先輩が……
 お姫様抱っこしてる……」


「嫌ぁぁぁ」


 悲鳴に近いファンの声も、もちろん無視。




 りんりんだけに聞こえるよう、
 囁き声を震わせた。