「意地張ってないで。
僕の肩、貸してあげるから」
「ひゃっ!いっ…嫌です! 絶対に嫌!」
僕の顔にツインテが当たるほど
髪を乱して、全力拒否って。
さすがの僕も、もう限界。
ひたいのどこかが、
プチプチってキレたんだけど……
「キミは、僕の肩じゃ不満なの?」
「えっ?」
「そっか、そっか。
お姫様抱っこが良いんだね~」
「あっ」とか「わっ」とか
「きゃっ」とか。
言葉にならない声で、
アタフタしている、りんりんなんて、
僕は無視。
「天音先輩が……
お姫様抱っこしてる……」
「嫌ぁぁぁ」
悲鳴に近いファンの声も、もちろん無視。
りんりんだけに聞こえるよう、
囁き声を震わせた。



