「……わかりました」



 悲し気に瞳を揺らすりんりんに、
 王子様級の笑顔を向けてみた。




 自分から手放したくせに。


 最後くらい
 りんりんの笑顔が見たいなんて

 女々しいことを思ってしまったから。




 でも
 りんりんは、うつ向いたまま。


 大好きな笑顔の花が咲く気配は、
 微塵もない。





 りんりんに食べて欲しくて、作ったお弁当を
 バックに忍ばせたまま。



「りんりん、じゃあね」

 
 作り笑いを貼り付け。

 僕は、美術室を後にした。