「精神安定剤だから、 私のことを、抱きしめてくれてるの?」 「そうだよ」 「じゃあ…… 心美さんにも……したの?」 りんりんの震える声が、僕の耳に届いた。 ――心美ちゃんにはしてない。 抱きしめたいなんて感情が 生まれたことさえないから。 「あっ君……」 「……なに?」 りんりん。 僕に何を言おうとしてるの? 唇を噛みしめて。 今にも泣きだしそうなほど、顔を歪めて。 「私には……無理だよ……」 「っえ?」 「誰かの代わりなんて、無理だからね」