棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目





「精神安定剤だから、
 私のことを、抱きしめてくれてるの?」


「そうだよ」




「じゃあ……

 心美さんにも……したの?」





 りんりんの震える声が、僕の耳に届いた。




 ――心美ちゃんにはしてない。

   抱きしめたいなんて感情が
   生まれたことさえないから。



 

「あっ君……」


「……なに?」




 りんりん。

 僕に何を言おうとしてるの?



 唇を噛みしめて。

 今にも泣きだしそうなほど、顔を歪めて。




「私には……無理だよ……」


「っえ?」


「誰かの代わりなんて、無理だからね」