殺人感染

「それでも、俺には遥を殺すことはできない」


「どうして? あたし、純也を殺しちゃうことになるかもしれないんだよ?」


思わず声が大きくなってしまった。


あたしは本気で純也になら殺されてもいいと思っている。


「じゃあ聞くけど遥は俺を殺せる?」


「あ……」


そんな質問はずるいよ。


あたしから殺してほしいとお願いしたのに、自分は純也を殺すことができないなんて……。


「その時はたぶん、アザを切り落とすよ」


あたしは小さな声で言った。


聞いた話が本当かどうかはわからない。


でも、人間に戻る可能性があるのなら、あたしはその手段を選ぶ。


「そっか。じゃあ俺もそうするよ」


純也が笑ったのがわかった。


あたしはうなづく。


それはこの先なにがあっても、2人で頑張るという誓いにも似た会話だった。