正確には、殺人鬼と同じアザが現れた子は、同じ殺人鬼になる。


という噂話だ。


そういう都市伝説はきっと日本中にあふれているから、特に気にしていなかった。


「もし、本当にそういうことが起きたらどうする?」


その言葉にあたしはまじまじと純也を見つめた。


純也は先にクレープを食べ終えて、コーヒーを飲んでいる。


「その時は、逃げるしかないよね?」


もし誰かが殺人鬼になって回りの人間を襲い始めたら、あたしは被害者にならないように逃げるしかない。


すると純也がニッコリと微笑んで「その時は俺が助けてやる」と胸を張った。


その様子に目をパチクリさせる。


ついで頬が熱くなっていくのを感じた。


「な、なに言ってるの純也」


慌ててそう言い、残りのクレープを口にほお張る。


こんな場所でそんなことを言われて、恥ずかしくないわけがない。