殺人感染

「この中に隠れよう」


ロッカーを開けて足元の道具を取り出していく。


「こんな中に隠れて大丈夫?」


「とにかく静かにしてやり過ごすんだ。今はそれしかない」


戦えないと判断した純也は先にロッカーに体を滑り込ませた。


2人入っても十分な広さがありそうだ。


続いてあたしもロッカーに入り、戸を閉めた。


ロッカーの中は絵の具の匂いが立ち込めている。


ちょうど視線をあたりに隙間が空いていて、そこから教室内を確認することができた。


すると、さっき攻撃した殺人鬼が再び立ち上がるのが見えたのだ。


ゆらゆらとした足取りで教室内を回り始める。


あたしたちを探しているのかもしれない。


あたしはゴクリと唾を飲み込んでその様子を見つめた。


あれだけ攻撃されてもまだ生きているなんて、普通じゃない。


まるでゾンビだ!


ゲームや漫画の世界でしか見たことのないものが、今目の前に存在している。


「不死身かよ」


純也が小さく呟いた。


片腕のない殺人鬼は教室内には誰もいないと判断したようで、出て行ってしまった。


どうやら、なにかを探すということについては不得意みたいだ。


このロッカーだって、戸を開けられてしまうとそれまでだった。